MAGIC / ROCK'A BEAT CAFE MAGIC / ROCK'A BEAT CAFE
マジック「ロッカ・ビート・カフェ」

¥3,000(廃盤)

MECR-30040 (meldac)

1.トラブル・イン・パラダイス
2.17才、BREAK DOWN
3.君にMerry X'mas
4.Darlin' Darlin'
5.おまえに溺れたい
6.バカだぜ…ジュリア
7.ロンサム・トレイン
8.ロカビリー・ザ・キッド
9.殺したいほどI LOVE YOU
10.俺達の子守唄
11.コーラの匂いとTシャツと
MAGIC / ROCK'A BEAT CAFE

レコーディング使用機材
1957年 グレッチ 6120
1959年 グレッチ 6120
フェンダー ジャガー
フェンダー ジャズマスター
ギブソン レスポール
ギブソン J-200
1964年 フェンダー ベースマン
マーシャル
1959年 フェンダー ベースマン・リイシュー
MXR ダイナコンプ
ヒュース&ケトナー TUBEMAN
コピーキャット
ローランド RE-501

「プロデューサーは土屋昌巳さん。」そう聞いたとき全く意味がわからなかった。なんせ俺が知ってる土屋昌巳さんといえば80年代初頭に聴いた一風堂の「すみれSeptember Love」のみ。ニューウェイブなプロデューサーとロカビリー・バンドでアルバム制作が成立するのか半信半疑でミーティングしてみると、「僕は世界一良い音がするベースマンを持ってるよ。」なんて言うからますますワケがわからなくなったのが第一印象。(笑) その後オリジナル曲を完成形に近づけていくプリ・プロダクションで一緒にスタジオ入りしたとき、土屋さんがスタジオに持ってきたのはフェンダーのジャズマスターとマーシャルのコンボ・アンプ。マジックのリハはまず最初にリズム練習をするからそのときも最初は身体慣らしのために3コードでロカビリーのリズムをプレイ。そのとき一緒に土屋さんも交えてプレイしたんだけど、やっぱウマイんだよね!マジックのリズムにも上手に乗っかって、俺が知らないニュアンスのフレーズとかタッチでシャレたギターを弾くんだよ。同じギタリストとして「こりゃズッコケられないぞ」とプレッシャーを感じつつもレコーディング場所のロンドンへ。そのスタジオはストレイ・キャッツがデイブ・エドモンズと「RANT'N RAVE」を録音したメゾン・ルージュ・スタジオ。大好きなアルバムが録音されたスタジオでレコ出来るなんて、もうそれだけでちょっとした感動!レコーディング初日は通称「音決め」と言われるサウンド・チェックのみで終了。普通は音決めもそこそこに録音をスタートさせるんだけど、なんと音決めだけで初日が終わっちゃった。だってマイクを一本ずつ1cm単位で移動させながらサウンドを調整していったから当然といえば当然なんだけど・・・。「ロッカ・ビート・カフェ」 はそれくらいシビアに音にこだわったレコーディングだったんだよね。おまけに全曲クリック無しの一発録音。そこにはプロデューサーの土屋さんもサイド・ギターで参加してね。これはかなりスリリングだったけど、気合入ったよ!うまくいけばテイク1、一曲3分でレコ終了だもんね。それまでの時間をかけたレコとは緊張感がまるで違うよ。おまけにここはロンドン。早く終わらせて遊びに行きたいじゃん!?(笑)ただ、スタジオのビンテージ機材は素晴らしいサウンドなんだけど壊れやすいのが難点。古い物だから仕方ないんだけど、一回壊れちゃうと数時間は修理でレコが中断するからスタジオ内で待機しなきゃいけない。だから必然的にサウンド・チェック後は機材の調子がゴキゲンなうちに速攻録音をしなきゃいけないんだよね。そりゃ〜手に汗握ってメンバー一同頑張ったよ。お陰でリズム録りは異例のスピードで終了して、リズム隊の二人は早々にスタジオから消えてショッピングへ。そしてここからは手に汗握りながらも楽しかったギター・ダビングに突入。土屋さんもギター・マニアだからスタジオに色々なギターを持ってくるんだよ。俺は最初このレコーディングも59年の6120をメイン・ギターに考えてたんだけど、ギターのサウンド・チェックのときにダイナソニック搭載の57年6120の方が良い音だってことになって、当初サブ・ギターの予定だった57年がリズム録りからメイン・ギターに格上げ。そのまま57年の6120をダビングでも使ってたんだけど、「俺達の子守唄」のギター・ソロを録るときに突然「これ弾いてみない!?」ってギブソン・レスポールを手渡されたんだよね。俺、レスポールはハード・ロック野郎のギターだと思ってたから面食らったけど「いやです」とも言えずにそのままプレイしてみた。するとこれが意外に普通のギターの音でビックリ!ソロも一発で決まったし、グレッチじゃないけど気分も爽快。するとその後のダビングでもジャズマスターやジャガーを貸してくれたから弾いてみたよ。ちなみに「君にMerry X'mas」のイントロがジャガーでソロがジャズマスター。アコースティック・ギターはギブソンのJ-200。みんなビンテージだったから余計に楽しかったよ。グレッチ以外のギターでもロカビリーのサウンドになると知ったのは新発見だったね。(笑)アンプは日本から送った64年ベースマンを最初から使ってたんだけど、リズム録音の途中からは土屋さんのビンテージ・マーシャルのヘッドと64年のキャビネットで録音。ダビングからは59年ベースマン・リイシュー。これをSONYのC-38B(通称漫才マイク)で拾うんだけど、テープ・エコーもかけ録りしてね。このときのレコーディング方法はメッチャ勉強になった。とにかく音決めは慎重にジックリと時間をかけるんだよね。そしてプレイは迅速に。良い音と良い演奏を録音するにはこれが一番なんだよ。今までこんなにサウンドにこだわりを持って録音したことは無かったから、そのおかげでマジックのアルバムでは一番のお気に入りのサウンドのアルバムになったね。ギター・プレイも緊張感があったから今でも信じられないくらいの良い演奏してるし。とにかく最高!
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