RODEO / RODEO DRIVE
ロデオ「ロデオ・ドライヴ」
¥3,000
CRCP-20207 (NIPPON CROWN)
画像
当たり前だけどCD制作には結構なお金がかかる。マジックの頃には考えもしなかった事をロデオの頃からは考えるようになったんだよね。ってか、考えさせられるようになったのだ。音楽的家計簿をつけることによって、曲を書いて演奏するだけの「ただの音楽バカ」から少しだけ「マトモなミュージシャン」に進化しだしたのかな。少しでも無駄な出費は抑えるのは当然の事だよね。もちろんクオリティーは落とさずに。「経費削減」は今でこそ当たり前のテーマだけど、ロデオは音楽業界でいち早くこのテーマにチャレンジしたバンドだったと思うよ。なんたって、いよいよこのアルバムから自前の機材で自前のミキシング、そしてドラムとベースのリズム・セクションまで自前の演奏だもんね。これこそ完璧なセルフ・レコーディングだぜ!当時ちょうど16トラックのハードディスク・レコーダーなる録音機材が登場したから2台ゲットしてさ。で、その2台を同期させると32トラックMTRの出来上がりじゃん!?そのトラック数があればロカビリー・バンドの編成ならもうバッチリだよ。さらに真空管プリアンプ内蔵のコンプレッサーを2台とマイクを数本ゲットして録音態勢は完璧。しかも次回のアルバム以降もこれで録れるんだから夢のような話だよね。一日10数万円の録音スタジオとオサラバしたのは大きかったな。ところがね、新しい機材を使いこなすってのは意外と大変なんだよ。レコ最後の最後まで取説とにらめっこしながら録音機材と格闘。さらにはドラムやベースを良い音で録音する作業も大変。そりゃそうだよね。俺、録音のプロじゃないもん。でも何度も録音してサウンド・チェックを繰り返しながらマイクを立てる位置を試行錯誤しながら変えていくと結構満足いく音が録れるポイントがあるんだよ。人間やればなんとかなるぜ。ロカビリー・バンドの欲しい音はロカビリーを知ってる人間が録るのが一番だもんね。そんなシンプルな事を学んだレコーディングでもあったな。両手をテーピングでグルグル巻きにしながら弾いたウッドベースも良い思い出だし、ボーカルの音程が少しコントロール出来るようになってきたのも、やっとこの頃だったっけ。録音後のミックスダウンも訳わからないながらもなんとか仕上げると、最後だけデカいスタジオでサウンドの微調整をしながらアナログ・テープに2ミックスを落としたんだよ。この「アナログ・テープに一度落とす」って作業はどうしてもやっておきたかった行程でね。当時自分の中では「アナログ至上主義」ってなくらいにアナログ信仰があったのに、便宜上お手軽簡単なデジタル・レコーディングを選んだ事で、その両者のイイトコ取りをしたくて最後に一旦アナログ・テープに落としたワケ。最終的にはCDで再度デジタル信号になるんだけどね。結果、よくわからんけど自己満足だけはしたってカンジかな。(笑)一枚のアルバムのほとんどの行程をメンバー2人だけで作り上げた充実感と仕上がりの満足感はうまく言い表わせないけど大きな自信をつけたし、今でも大好きなアルバムだね。「ロカビリー・シンガー・ソングライター・エンジニア」が誕生した記念すべきアルバムでもあるしね!
レコーディング使用機材
1957年 グレッチ 6120
グレッチ ニューヨーカー・バンジョー
グレッチ ランチャー
マンドリン(メーカー不明)
1964年 フェンダー ベースマン・アンプ
1962年 フェンダー コンサート・アンプ
MXR ダイナコンプ
ヒュース&ケトナー TUBEMAN
エコープレックス EP-1
back | home